憲法の杜 こんなにも美しい日本国憲法

旧 kazami-k ブログ「こんなにも美しい日本国憲法」から越して来ました

読解力が無きことを露呈。産経新聞、阿比留瑠比氏の愚考

憲法記念日にツイートしましたが、

こんなのが1面トップとは、情けなや、産経新聞。

今に始まったことでは無いけれど。

何がどう情けないのか。

以下 阿比留氏の記事より引用

現行憲法には、89条で禁じられている私学助成が制度として存在する矛盾や、基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」とうたう11条と97条の重複、日本語のおかしさなど、手を入れるべき箇所はたくさんある。

<引用終わり>

89条で禁じられている私学助成とあるが

決して 禁じてなど居ません

前にも書きました

89条は、私立学校への助成を禁止する趣旨ではありません。

私立学校は、公の支配に属していない、とでも言いたいのでしょうか。

そんなことはありません。

学校教育法、私立学校法、私立学校振興助成法などなど

国が定める法律の下での運用です。

 

次に

基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」とうたう11条と97条の重複

とありますが、

なぜ重複してまで条文に入れたのか、その意味を考えようとしないのは

新聞記者として失格と言わざるを得ない。

阿比留氏に憲法学者になれ。とまでは、云いませんが せめて読者に正しい憲法の本質を伝える義務があると思う。

氏のトップ記事のままでは 憲法がもつ本質や、日本国憲法が制定された当時(敗戦の翌年)の歴史的背景(当時は 天皇が主権国家。国民はないがしろにされてき、その結果の苦い敗戦) がすっかり抜けていると云え

過去の猛反省と、

新しい国会議員らによる憲法制定。より素晴らしき憲法へと制定させるため

わざわざの重複の意味合いを伝える義務があると思う。

それで阿比留氏の云う重複とは

第11条

国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

第97条

この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

まず11条は 章の前半部分とも云え 単なる基本的人権に関する総論。 第12条、第13条と連動して、人権保障の基本原則を定めているとされます。

一方97条は 憲法の後半部分 「最高法規」日本国憲法の締めくくり。

この憲法が日本のすべての法の上位に立つことを確認しているのです。

97条でくり返すことにより「基本的人権」は

ゆるがすことの出来ない、大事なものである。と再認識しています。

そして次が肝なのだが この基本的人権が 「制定された由来(歴史的背景/人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果)」 を述べているのである。

また、この基本的人権は

日本国だけでなく 全人類が生まれながらにして持つ権利として 国際連合憲章にも述べられて居り、例えば

第97条がなければ

日本国憲法が規定する基本的人権は、

「人類が生まれながらにして持つ権利」が

国家が国民に与えた権利」と読み違えることも可能。

とも指摘されているのです。 ↓

第11条

国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

 

 

私たち先祖や、人類の長年の苦労と努力により獲得したものであること。 そしてそれ(基本的人権)は、未来の人々のため、 絶対に守り通さなければならない。

と、この最高法規の さらに最終章で繰り返し述べられて居るのである。

その本質を 個人的愚考で、ないがしろにすることなど、断じてあり得ないのである。

追伸 あと 阿比留氏の愚考 9条に関する愚論にも当然、触れたいと思うが  いずれまた。

参考文献 ・「日本国憲法の論じ方」有斐閣 渋谷秀樹 ・「憲法」有斐閣 渋谷秀樹 ・「憲法への招待」岩波新書 渋谷秀樹 ・「1条30秒で理解できる簡単明瞭!日本国憲法」笹倉出版社 ・「はじめての国際法」自由国民社 尾崎哲夫